世界で最も美しい本といわれる1200年前のケルトの装飾写本を復元模写した画期的な書
『ケルズの書』とは、8世紀に制作された聖書の手写本でアイルランドの国宝。全680頁のうちの22頁は、最も細密で美しい色彩が施されている。本書は著者が15年間にわたり、この装飾頁の復元模写を試みた記録。
細密な構造を解明しながら、制作当時の色彩や図像の謎に迫った著者渾身の書。キリスト教美術、仏教美術の研究者や愛好家、またその不可思議な図像は現代アートにかかわる方々にも好適な一冊。
<目次>
緒言/バーナード・ミーハン博士
はじめに
『ケルズの書』とは
オリジナルfolio 28v、28r(表裏)とオリジナル129v、129r(表裏)
模写に用いた顔料/染料
模写全作品
模写作品及び解説
1 folio 1r ヘブライ語の名前と福音書記者の象徴
2 folio 7v 聖母と幼子イエス
3 folio 8r ベツレヘムにイエス誕生
4 folio 27v 4人の福音書記者の象徴
5 folio 28v 聖マタイの肖像
6 folio 29r キリストの生涯の物語
7 folio 32v キリストの肖像
8 folio 33r 8円環の十字架(カーペットページ)
9 folio 34r カイローページ
10 folio 114r キリストと弟子たち
11 folio 114v そのときイエスは弟子たちに言った
12 folio 124r そのときイエスは磔刑に
13 folio 129v 4人の福音書記者の象徴
14 folio 130r イエス・キリストの福音の初めに
15 folio 183r それは第3の時であった
16 folio 187v キリストが昇天したことを告げている
17 folio 188r ……であるから
18 folio 202v キリストの誘惑
19 folio 203r そしてイエスは聖霊に充ちて
20 folio 285r イエスの遺体の埋葬
21 folio 290v 4人の福音書記者の象徴
22 folio 291v 聖ヨハネの肖像
23 folio 292r 初めに言葉ありき
色彩や図像の考察
1 顔料/染料 色彩について
2 図像に関する見方
1 ライオン
2 鳥
3 蛇状の長い生物
4 植物
5 牡牛
6 目の形
7 聖人 天使 人間
3 幾何学模様 日本との比較
4 繰り返し模様
5 線の美『ケルズの書』に用いられている線の特徴
6 『ケルズの書』の立体(3D)の世界
7 『ケルズの書』の渦巻きの図像
8 ケルズの芸術家たちの不思議な感覚
9 プロテクション(シーラント)制作後作品の表面に塗る保護膜のこと
制作過程
『ケルズの書』の概略~ゆかりの地を訪ねて~
追記 制作時間
あとがき
参考文献
著/萩原美佐枝
緒言/バーナード・ミーハン
A4変型 上製本 160頁(カラー54頁)
◆萩原美佐枝(はぎわらみさえ)
1938年横浜に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業。
55歳でアイルランドに行き、ケルズの書と出会い、テンペラ画を習い模写を始める。
2009年に私家版として本書を刊行するが、この度新たに模写作品に補修を加え、増補、改訂して決定版として上梓した。
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