歌川広重の東海道五拾三次の登場人物全てを猫にしたユーモアあふれる一冊。
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洋画 > 猫街道三拾三次 歌川猫重

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猫街道三拾三次 歌川猫重


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猫街道三拾三次 歌川猫重
2013年7月
定価 : 2,420 円 (本体 : 2,200 円)
ISBN 978-4-7630-1319-4 C0071
数量 

品切
キャットアート・コレクション第3弾、今度はニャンと浮世絵に!

名画の登場人物を猫にし、大好評を博した『キャット・アート 名画に描かれた猫』、『キャット・アート ポストカード・ブック』に続く、シリーズ第3弾。

今回は歌川広重「東海道五拾三次」の登場人物すべてが猫となり"猫街道三拾三次"を旅します。
茶目っ気にとんだ姿、愛嬌たっぷりの表情で繰り出す珍道中に、吹き出すこと必至!

著者/シュー・ヤマモト

B5変型 並製本 92頁

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第一景 「日本橋」


猫街道の起点はお江戸、その中でもわしは一番賑わう日本橋を最初のシーンに選んだんじゃ。
手前は魚の売り買いをするビジネスネコ衆。
大きな魚市場がここからほど遠くないところにあるんじゃ。

そして橋の上にはお江戸でのお務めを終えて
これから
自分の藩に戻ろうとする大名猫行列の一行が江戸をいよいよ出発じゃ。
行列の前で
威勢を示すためにかざしているのが「鳥毛」(とりげ)というもの。
お主がたのネクタ
イと同じで、あってもにゃくても、機能には関係ないものと言えるんじゃが、
れば格好がつく。

実はこの棒、
始めはこんなに長くなかったんじゃが、くるくる廻すとそれを見る沿道の猫たちも、
行列の中の役人猫たちや侍猫たちでさえも、無性にじゃれたくなるという抵抗しがたい誘惑にかられ、
一匹がちょっと近づいて手を伸ばすともう我もわれもということで行列は大混乱に陥るのが常じゃったんじゃ。

それ
で役人猫たちが考えた挙げ句、棒を手が届かない程度に長くして問題は解決したというわけじゃ。
こういう日本猫歴史秘話、初耳じゃろう?









第拾二景 「原」


副題は「朝の富士」。
すでに川崎と平塚の景色にも富士を描いておったんじゃが、そこでは富士山は絵に彩りを添える脇役じゃった。

しかしここではこの絵の主役で、画面中央にその威容を示しておるんじゃ。
そればかりではにゃく日本一のその高さを強調するためにルールを破って版画の枠からその頂をはみ出させたんじゃ。サプライズ効果といったところじゃのう。

原は三十三次の宿場の中で一番こじんまりしていて、旅籠の数は僅か二十五軒。
しかしこの富士の景色がそれを補って余りありと言ったところじゃにゃかろうか。

百匹一首にも含まれているのでご存知の方も多いと思うんじゃが、
奈良時代の歌猫、山部猫人(やまべのねこひと)の富士を歌った有名な句に出て来る「田子ノ浦」は
この原の宿場からそれほど遠くないんじゃよ。

「田子ノ浦にうち出てみればうろたえの、富士の高値に雪は降りつつ」

(田子ノ浦に行ってみると雪のかぶった富士の姿が見えた。
ひょっとしたら山ごと買えるかなと思って不動産屋にその値を尋ねたら、
あまりにも高いのでうろたえてしまった*)

* お茶飲まず雌猫大学教授、猫谷三毛次郎著「猫文学史概論」より著者の許可を得て引用










第二拾景 「掛川」



山越えを終えて平地に出ると掛川の宿。そしてそこを通り過ぎるとあるのが二瀬川(ふたせがわ)。
二瀬川に掛かるのがこの大池橋なんじゃ。

橋の向こうから来る僧侶と小坊主とこちらから行く旅猫が橋の上ですれ違おうとしている。
僧侶は荷物を全部小坊主に持たせているので涼しい顔をしておるが、小坊主の方は汗びっしょり。
を下げている二匹は僧侶の姿を見てお辞儀をしているのか、
それとも橋の上の突風から身を護ろうとしているのか? 

え? お前が描いた本人なんだからどっちだか教
えろ? 
それは見る猫々の其々の解釈に任せて良いのじゃ。

後ろから付いてくる子猫は旅の格好をしておらず、この土地の子と解せる。
最近買ってもらった派手な絞の着物を見てもらいたくてそこいら辺をうろうろしているんじゃろう
(猫はうろうろす
るのは得意だからのう!)

遠くに見えるのが副題にもある秋葉山、
そして凧揚げ。一つの凧の糸は切れてしまったようじゃ。

橋の向こう側に野良仕事をしている猫が見えるって?
あれは野良仕事ではないんじゃ。
野良仕事というのは迷ったのら猫を探す仕事のことじゃよ。





 

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