切り取られた現実の何気ない一瞬は、
彼女の筆によって強拍と弱拍を微妙にずらされ、
線と色彩は甘く狂おしいダンスを始める。
ヴァイオリニスト 葉加瀬太郎
制作のためにひとり、旅を重ねる大場節子。
パリを拠点に、国から国へ、町から町へ、ただ一心に描くだけの旅。
それは、石畳の道に、積み続けてきた人々の営みの中に、森に山に、一瞬のきらめきと心地よい共鳴とを感じながら画面とともに歩いていく旅。
その地で暮らす人々や町並み、目の前に広がる風景を見て、全身で感じた形を、色を、空気を、キャンバスにぶつける。
自分自身と向き合い、画面と向き合い、画家の思いがひとつの作品に結実する。
絵の具を塗り重ねた作品からは、人々のささやきや街のざわめきが聞こえ、灯りの温かさが伝わり、風が吹き抜け、樹々が揺れる音が響く。
頁をめくり、画家が感じた世界が体感できる作品集。
著/大場節子
B5判 並製本 136頁(カラー112頁)
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