小川晴暘が創りだした漆黒の写真空間に浮かび上がる仏像は、
人々の祈りを受け止めてきた仏の姿である。
いざ、「飛鳥園」100年のまなざしへの旅へ――
本書は、文化財写真家であり研究家でもあった小川晴暘の軌跡を振り返ると同時に、晴暘が興して以来100年を超えて今も古都奈良で活動を続ける写真館・飛島園の軌跡も紹介する。
写真家が被写体として観察し、対話しながら引き出した仏像のイメージを通して、信仰という人間の精神的営みそのものの本質に触れることができるであろう。
(本書「小川晴暘と飛鳥園 100年の旅―序説」より抜粋)
仏像撮影専門の写真館・「飛鳥園」を創立した写真家・小川晴暘は、黒バックで仏像を撮り、仏像写真を芸術の域に昇華させた第一人者である。
姫路に生まれた晴暘は画家を目指したが、奈良で仏像や文化遺産に心打たれ、會津八一の強い勧めから奈良で「飛鳥園」を創立し、文化財・文化遺産の撮影に精力を傾けた。
撮影のみならず東洋美術の研究にも熱中し、志賀直哉や濱田青陵をはじめ、文化人・知識人との交流も深めた。また、中国の雲岡石窟、韓国の石窟庵のほか、アジアの文化遺産の調査・撮影も積極的に行った。
「飛鳥園」の創立100年を記念し開催される巡回展の公式図録兼書籍である本書によって、小川晴暘、光三、光太郎の親子三世代で引き継がれる飛鳥園の活動を振り返る。
飛鳥園に保存されている美しい仏教美術写真は無論、小川晴暘が調査の際に遺したスケッチや拓本、晴暘が発刊した『東洋美術』などの古美術研究専門誌や文献資料もあわせ111点を掲載。古美術・文化遺産を愛した小川晴暘という人物の姿にも迫る。
<目次>
ごあいさつ 主催者
Greeting The Organizers
ごあいさつ 小川光太郎
小川晴暘と飛鳥園100年の旅―序説/安田篤生
1章 小川晴暘と飛鳥園
2章 小川晴暘とアジアの仏教美術
飛鳥園をめぐる人々
3章 小川晴暘から小川光三へ
小川晴暘と姫路/高瀬晴之
4章 飛鳥園100年の旅 志を継いで
資料編
飛鳥園と小川晴暘にかかわる出版物
本書に登場する、飛鳥園が撮影した寺院
作品リスト
飛鳥園年譜
作品解説
Intoroduction Ogawa Seiyo and Askaen Yasuda Atsuo
企画/奈良県立美術館・姫路市立美術館
監修/飛鳥園
A4判変型 並製本 120頁(図版111点)
【展覧会情報】
「小川晴暘と飛鳥園 100年の旅」
会場:奈良県立美術館 ≫
会期:2024年4月20日(土)〜2024年6月23日(日)
会場:姫路市立美術館 ≫
会期:2024年7月6日(土)〜2024年9月1日(日)
会場:半蔵門ミュージアム ≫
会期:2024年9月11日(水)〜2024年11月24日(日)
会場:パラミタミュージアム ≫
会期:2024年11月30日(土)〜2025年1月26日(日)
※本書は本展の公式図録兼書籍です。
オフィシャルホームページ
飛鳥園 OFFICIAL WEB ≫
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