写真家・六田知弘による、運慶写真集の決定版!
本書では、長年、国内外の仏教美術撮影を多く手掛けてきた六田知弘による、運慶作あるいは運慶工房によるものと考えられる作品群、そして父・康慶、息子・康弁の作も含めた97点を、モノクロームの3色印刷を主に展開し、その狭間に色刷りを挟み込んだ。モノクロトリプルトーンでの美しい墨色の表現世界と、覚醒するかのような色彩による光を堪能できる。
また、表紙から始まり随所に掲載した部分拡大からは、表情の深みや動きの緊張感が驚くほど伝わり、そうした部分に込められた濃厚なエネルギーが凝縮され、一体の像を成立させていることが解る。それが運慶の仏師としての力量によるものであり、運慶仏の魅力であるのは言うまでもないが、六田は撮影することで、肉眼では捉えきれない、運慶仏が発する目に見えないものを捉えようとしてきた。それは運慶自身が放ち、その手で生み出した像にも宿る「気」のようなものであると考える。
本書では抑えた色彩と大胆なトリミングの作用によって、運慶からの「気」を立ち上らせるような一冊を目指した。
重量感のある運慶仏群を、あえて並製のタイトで柔らかな本に纏め、スタイリッシュで新たな運慶の世界として発信する。
●日英併記(一部)
著/六田知弘
A4変型 並製本 160頁(図版90点)
【展覧会情報】
「運慶と快慶 六田知弘・佐々木香輔写真展」
会場:相田みつを美術館 ≫
会期:2023年10月3日(火)〜2023年11月26日(日)
オフィシャルホームページ
六田知弘 OFFICIAL WEB ≫
◆六田知弘(むだともひろ)
1956年、奈良県生まれ。
1980年に早稲田大学を卒業後、ネパールのヒマラヤ山中に住む少数民族のシェルパたちの村で暮らし撮影をする。
1988年に初個展として「ひかりの素足−シェルパ」を新宿ニコンサロンで開催。
以降、自然や宇宙と人間との根源的なつながりに対するまなざしのままに、石や水、古い建物の壁、遺跡や文化財など様々な事象を対象に撮影を続ける。
これまでに、『東京国立博物館の至宝』『仏宇宙(Buddha Universe)』『宇宙のかけら―御所 GOSE』『ロマネスク―光と闇にひそむもの』『ブッダ 今を生きる言葉」『石と光 シトーのロマネスク聖堂』『OKUGAKE』『雲岡石窟 仏宇宙』『時のイコン 東日本大震災の記憶』『ロマネスク 光の聖堂』等、数多くの写真集を刊行。また、東日本大震災の被災地域にて被災物5000点を撮影。「時のイコン 東日本大震災の記録」として、国内外で巡回展覧会を続ける。
|