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人類の近未来をテーマとし、国内外で注目を集めた2作にフォーカスした、岡田裕子の初作品集! 本書は現代美術家・岡田裕子による初作品集であり、新作《エンゲージド・ボディ》と、2002年に制作された《俺の産んだ子》(2019年改訂版)および自作自解として本人によるこれまでの作品解説、ヒトゲノム解析の権威である武藤氏との対談などを収録。 《エンゲージド・ボディ》は2019年2月に恵比寿映像祭で発表され大変な好評を博した。その後、オーストリア・リンツのアルスエレクトロニカセンターで1年間の常設展示が決まるなど、国内外からも大きな注目を集めている。 未来の世界では、再生医療がさらなる発展を遂げ、ヒトの細胞株が、あらゆる身体の部分に分化するようになり、他者へ提供できるようになる。そんななか、ドナーとレシピエントの間では、契りの証として、再生した内臓をジュエリーに仕立てて贈り物をするという文化が芽生える。− 《エンゲージド・ボディ》はそんな架空の未来の物語。 互いに名乗り合うことが許されない代わりに、ジュエリーを贈り、受け取ることで、互いの身体の関係を確かめ合う。 一方17年前に制作された《俺の産んだ子》は、「男性が妊娠・出産する」という、こちらも架空の未来を描いた映像作品。 妊娠する男性S.K.氏は、他人との濃密なコミュニケーションを負担に感じ、恋人もいらない、結婚もしたくない、でもなんとかして実の我が子が欲しいと願う。 2002年に北九州市立美術館で発表されて以降、東京都現代美術館(2005年)、ニューヨークのブルックリン美術館(2007年)などで展示の機会を重ねて来た。 二つの作品はともに架空の未来を描いているが、それらは、じつは現在の現実を映す鏡のようなもの。これら先端医療にまつわるストーリーは、この17年の間に大きく変化した技術の革新性を感じることができる。その一方で、いまだに変わらない、差別や経済、生活環境などといった人間社会の問題も浮き彫りにする。 ●日英併記 <目次> はじめに [図版とテキスト] エンゲージド・ボディ 俺の産んだ子 [対談] 岡田裕子×武藤香織「生命倫理と批評的美術作人」 [エッセー] 笠原美智子「岡田裕子の愛と孤独、そして笑い」 [作品解説] 自然体としての多面体―岡田裕子の自作自解 略歴 著/岡田裕子 B5判 並製本 80頁(図版50点) 【展覧会情報】 岡田裕子展「ダブル・フューチャー」 日時:2019年7月10日(水)〜2019年8月10日(土) 会場:ミヅマアートギャラリー ≫ オフィシャルホームページ 岡田裕子 OFFICIAL WEB ≫ ミヅマアートギャラリー OFFICIAL WEB ≫ ◆岡田裕子(おかだひろこ) 1970年、東京都生まれ。 93年、多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業。 映像、写真、絵画、インスタレーション、パフォーマンスなど多様な表現を用いて、自らの実体験──恋愛、結婚、出産、子育てなど──を通したリアリティーのある視点で、現代社会へのメッセージ性の高い作品を制作。 近年の主なグループ展に「MOTアニュアル2005:愛と孤独、そして笑い」(東京都現代美術館、2005年)、「Global Feminisms」(ブルックリン美術館[ニューヨーク]、07年)、「Lesson Ø」(国立現代美術館[果川、韓国]、17年)、「第11回恵比寿映像祭:トランスポジション 変わる術」(東京都写真美術館、19年)、「Compass - Navigating the Future」(アルス・エレクトロニカ・センター[リンツ、オーストリア]、19年)など。 ニューヨークやソウル、ジョグジャカルタなど海外でのレジデンスプログラムにも参加。その作品は国内外で高く評価されてきた。 ほかにも、オルタナティブ人形劇団「劇団★死期」を主宰、家族で結成したユニット「会田家」などの個性豊かなアートプロジェクトにも関わりながら、幅広い活動を行う現代美術家。
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