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不染鉄ノ便リ


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不染鉄ノ便リ
2018年8月
定価 : 2,530 円 (本体 : 2,300 円)
ISBN 978-4-7630-1814-4 C0071
数量 


「やがて夜明に近い。夜中に一人で遊んでいる。とても楽し。」

これらは、人間・不染鉄の人生観が滲む魂の記録であり、
すべての人の心に宛てた便りである。


本書は、昭和40(1965)年から2年間、不染鉄から倉石美子(くらいしとみこ)さん(旧姓:滝沢)という、当時20代の女性宛てに、2年間にわたり送られた絵はがきを中心にまとめたものである。
その多くは味のある絵とともに綴られており、日々の小さな気づきや感動だけでなく、画家として、一人の人間としての思いも記されている。やがてまなざしは遠く過ぎ去った日々にも注がれて、まるで目の前の出来事のように鮮明に描かれ、一種の自伝的要素をも含んでいく。
不染鉄と美子さんとの出会いは昭和37(1962)年10月。お茶の水女子大学生だった彼女は、奈良女子大学に通う友人に連れられて、不染の画室を訪ねた。そこで見たこともない物に溢れる不思議な空間に驚き、一瞬にして不染ワールドに惹きつけられる。
その少し前、大学のある講義で「生きているふり」と「本当に生きる」ことへの問いかけに強く心を揺さぶられ、意味を求め悩んだ美子さんは、その真剣な思いを不染に伝える。
当時、不染鉄はすでに70代。長き人生経験を経てもなお、正しい真実の絵を求めていた画家にとって、純粋な精神そのものの若者との出会いは心打たれる出来事であったと同時に、自身の魂に火を灯す、希望の光であったのかもしれない。
どの便りにも、夜更けに夢中になって筆を走らせていた画家の姿が浮かぶ。
絵はがき制作との出合いは本人にとっても発見であり、「本当の画とはこれである」という熱い思いを抱いた。
2017年に40年ぶりの大反響を得て人々の知るところとなった「幻の画家・不染鉄」を知る上でも、絵はがきは大変貴重な記録であり、一方で「だれにでも見せて笑ってほしい」と願ったことからは、魅力溢れるこの画家の気取らない、あけっぴろげとも言える心が見えてくる。
すべてを慈しむ心に溢れた人・不染鉄の言葉は時代を超えて私たちに語りかけてくる。

著/不染鉄

A5判 並製本 208頁(図版176点)

◆不染 鉄(ふせんてつ)
1891(明治24)年、東京生まれ。
小石川の光円寺住職であった不染信翁と母・梅田かの子の間に生まれる。
幼少期は複雑な家庭環境からか、素行の悪さで周囲を困らせ、千葉の漁村の寺に修行に出されたりもするが、20歳前後で両親を亡くす。
絵の道に進むとを決め、1914(大正3)年、23歳で日本美術院研究会員となる。
制作に邁進するも才能と将来に不安を抱え身を持ち崩し、その頃出会った妻とともに伊豆大島へ渡る。
悪天候のなかたどり着いた漁村・岡田村で温かく迎えられ、漁師のまねごとをして3年程暮らす。
その後、美術研精会で《秋声》が佳作に選ばれたのを機に京都へ移住し、京都市立絵画専門学校日本画科予科に入学。
以降、帝展での受賞が続き、1923(大正12)年、京都市立絵画専門学校本科を首席卒業。
上村松篁とは親しく、長く交流が続いた。
やがて住まいを奈良へ移し、帝展への出品を中心に制作を続けていたが、1946(昭和21)年、初代理事長が戦後の公職追放にあったため、かわりに奈良県正強中学校の2代目理事長に就任し、その後校長となる。
退職後、67歳で妻を亡くし、市内の知人の好意で敷地内に小さな家を建て暮らす。
1976(昭和51)年2月28日、84歳で直腸がんのため死去。
1996(平成8)年、奈良県立美術館で開催された20年記念特別展を経て、没後40年の2017(平成29)年、東京ステーションギャラリーと奈良県立美術館の2カ所巡回で回顧展を開催し、大きな反響を得た。


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『不染鉄ノ便リ』 これらは、人間・不染鉄の人生観が滲む魂の記録であり、すべての人の心に宛てた便りである。 不染鉄から倉石美子さんという、当時20代の女性宛てに、2年間にわたり送られた絵はがきを中心にまとめたものである。 その多くは味のある絵とともに綴られており、日々の小さな気づきや感動だけでなく、画家として、一人の人間としての思いも記されている。 #不染鉄 #ふせんてつ #倉石美子 #絵手紙 #手紙 #日本画 #美術館 #展覧会 #絵画 #展覧会図録 #展覧会カタログ #美術 #芸術 #アート #作品集 #美術書 #芸術書 #プレゼント #贈り物 #読書 #フォローミー #いいね #求龍堂 #art #artbook #Japaneseart #gift #followme #likeforlike #kyuryudo

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