「地球を彫刻した男」 宇宙的スケール彫刻写真集。
20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチは、モニュメント、庭や公園などの環境設計、家具や照明のインテリアから、舞台美術までの幅広い活動を行った芸術家。 ニューヨークとともにノグチの活動の拠点であった香川県牟礼町のアトリエと住居は、この地が未来の芸術家や研究者、そして広く芸術愛好家のためのインスピレーションの源泉となることを強く望んでいたノグチの遺志を実現し、「イサム・ノグチ庭園美術館」として1999年より一般に公開されている。 150点あまりの彫刻作品はもとより、自ら選んで移築した展示蔵や住居イサム家、晩年制作した彫刻庭園など、全体がひとつの大きな「地球彫刻」、あるいは環境彫刻となっている。 アトリエ時代の1988年、篠山紀信はこの地を訪れ、イサム・ノグチ本人とその作品群を背景とした写真を撮り下す。 10年の時を経て、再度篠山紀信そしてデザイナーの佐藤卓の二人が美術館を訪問。美術館を撮り下ろし、2009年、三宅一生監修による開館10周年記念の写真集が刊行された。 本書は、写真入り全作品リストを付した増補改訂版である。
企画・編集/公益財団法人イサム・ノグチ日本財団 企画・監修/三宅一生 写真/篠山紀信 アートディレクション/佐藤卓
332×300mm 並製本 182頁(図版121点)
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◆イサム・ノグチ(いさむのぐち) イサム・ノグチ(1904−1988)。英文学者で詩人の野口米次郎と、作家レオニー・ギルモアとの間に生まれ、少年期は日本で育つ。 渡米した後、彫刻家を志し、アジア・ヨーロッパを旅して見聞を広めた。 パリでは彫刻家ブランクーシの助手をつとめる。ニューヨークに居を定め、肖像彫刻、舞台美術をへて環境彫刻やランドスケープ・デザインにまで幅広い活動を開始する。 戦後は日本でも陶器作品や、和紙を使った「あかり」のデザインなどを行う。 また丹下健三、猪熊弦一郎、勅使河原蒼風、北大路魯山人、岡本太郎など当時の前衛芸術家たちと交流して刺激を与えあう。 その後、アメリカ国内外の各地で、彫刻、モニュメント、環境設計を続け、文字通り「地球を彫刻した男」と呼ばれる。 1985年には、ニューヨークにイサム・ノグチ・ガーデン・ミュージアムを開館する。 代表作には、慶応義塾大学「新萬来舎」(1950)、広島の平和大橋(1952)、パリのユネスコ本部の庭園(1958)、大阪万博の噴水(1970)、デトロイトの公園「フィリップ・ハート・プラザ」(1979)、東京の草月会館ロビー「天国」(1977)、テキサスのキンベル美術館「星座」(1982)、コスタ・メサの彫刻公園「カルフォルニア・シナリオ」(1982)、フィラデルフィア「ベンジャミン・フランクリンのためのモニュメント」(1984)、ヒューストン美術館の彫刻公園(1986)、ヴェネチア・ビエンナーレの滑り台「スライド・マントラ」(1986)、高松空港「タイム・アンド・スペース」(1989)、札幌大通り公園の滑り台「ブラック・スライド・マントラ」(1992)、札幌モエレ沼公園(2005)など。
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