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ロウの積層で虫という存在の痕跡を封じ込める。 重なり合い、混じり合う色と形は、新たな造形を生み出す。 独自の手法で描き続けた、筒井伸輔30年の軌跡。 身のまわりで採集した虫をモチーフに、蝋を用いて表現を続けてきた画家筒井伸輔。 採集してきた虫を標本にし、それを顕微鏡で撮影して作ったフィルムを紙に投影し、作品を作り上げていく。モチーフの形はそのままに、彩色した蝋を重ねていくと、平面のモチーフは立体的に見えてくる。虫の存在を丁寧に積層に封じ込めていく作業は緻密で繊細。彩色された虫は、別なものに生まれ変わったかのようだ。地道に制作し続けてきた作品を、あるがままに見せる。 本書は非常にシンプルな画集だが、虫の存在の痕跡を封じ込めた世界は、見れば見るほど奥が深い。 本書の完成を見ずに、筒井伸輔はこの世を去った。2019年4月に病が判明して以降、通院と治療をくり返しながらも、静かな情熱をもって最後まで作品をつくり続けた。どんな画集にするか、本書の制作にも最後まで携わった。本書は可能な限り筒井伸輔本人の意向に添った構成となっている。ただただ純粋に作品を見せる、そういう思いが伝わる画集である。 取り扱い画廊であるミヅマアートギャラリーの全面協力で本書は刊行された。父筒井康隆の著書『聖痕』が朝日新聞に連載されていた際の挿絵全238点も掲載。画家筒井伸輔の生きた証がここにある。 ●日英併記 A4判 上製本 128頁(図版354点) 【展覧会情報】 「筒井伸輔 特別展示」 会場:ミヅマアートギャラリー ≫ 会期:2021年2月12日(金)〜2021年2月18日(木) ◆筒井伸輔(つついしんすけ) 1968年 8月21日、東京都生まれ 1992年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業 2020年 2月24日、死去 個展 2020年 ミヅマアートギャラリー(14、10、07、05、03、01、00、98、97、96、95) 2006年 Disco 1997年 海文堂ギャラリー 1995年 モリスギャラリー(94) 1994年 フタバ画廊(93) グループ展 2019年 「Hopes & Dialogues in Rumah Kijang Mizuma」Mizuma Gallery(シンガポール) 2018年 「筒井康隆展」世田谷文学館 2009年 「November Steps -Susan Phillipsz & Gallery Artists-」ミヅマアートギャラリー 2008年 「JAPAN NOW」Inter Alia(ソウル) 2002年 「掌8」レントゲンヴェルケ 2001年 「掌7」レントゲンクンストラウム 2000年 「むし・虫・ワールド」群馬県立近代美術館 1997年 「VOCA 展 ’97:現代美術の展望─新しい平面の作家たち」上野の森美術館
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